二十代後半から徐々に広がり始めたおでこの面積に気づかないふりを続けていた私ですがある日エレベーターの鏡に映った自分の疲れ切った顔と明らかに後退した生え際を見て愕然としこのままでは若さを完全に失ってしまうという恐怖に襲われました。それからの私は人の視線が常におでこに向けられているような被害妄想に囚われ風の強い日は外出を避けたり常に帽子を目深に被ったりして隠すことばかりにエネルギーを費やしていましたがそんな消極的な姿勢が余計に自分を追い詰めていることに気づき一念発起して生え際対策に取り組むことを決意しました。最初に手を出したのはインターネットで評判の良かった高価な育毛剤でしたが半年間毎日欠かさず塗り込んでも産毛が生える程度の効果しか感じられずやはり遺伝には勝てないのかと絶望しかけましたが諦めきれずに薄毛治療専門のクリニックの門を叩くことにしました。そこで医師から告げられたのは私の症状が典型的なAGAであり進行性であるため市販の育毛剤や生活習慣の改善だけでは限界があるという冷酷な事実でしたが同時に医学的な治療を行えば回復の余地は十分にあるという希望の言葉もいただきフィナステリドの内服とミノキシジルの外用薬による治療を開始しました。治療初期には初期脱毛という副作用で一時的に抜け毛が増え不安で眠れない夜もありましたが医師の言葉を信じて治療を継続した結果四ヶ月が過ぎた頃から生え際にしっかりとした黒い髪が蘇り始め半年後にはおでこの広さが明らかに狭くなっていることを実感できるようになりました。並行して行ったのが徹底的な生活習慣の見直しであり以前は毎日のように食べていたカップラーメンやスナック菓子をきっぱりとやめ納豆や卵鶏肉などのタンパク質と野菜中心の食生活に切り替えると共に睡眠不足を解消するために夜更かしをやめて七時間の睡眠を確保するように心がけました。また入浴時には湯船に浸かって全身の血行を良くし洗髪時には頭皮マッサージを行って硬くなった頭皮を柔らかくすることを日課にしましたがこれは髪のためだけでなくリラックス効果もありストレス解消にも役立ちました。現在治療を開始して二年が経過しましたが私の生え際は二十代の頃と変わらないラインまで回復し何よりも大きかったのは鏡を見ることが怖くなくなり堂々と人の目を見て話せるようになったという精神的な変化です。生え際の後退は放置すれば進行する一方ですが正しい知識と行動力を持って立ち向かえば必ず克服できる壁でありその過程で得た自己管理能力や自信は髪以上の財産となって私の人生を豊かにしてくれています。
鏡を見るのが怖かった私が生え際の悩みを克服した軌跡