あれは四十歳の誕生日を迎えた頃の何気ない日常の中でふと立ち寄ったデパートの試着室での出来事でしたが、頭上から降り注ぐ強烈なダウンライトに照らされた自分の姿を三面鏡で見た瞬間に血の気が引くような衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えています。そこには自分では全く意識していなかった頭頂部の地肌がくっきりと白く浮き上がり、かつての黒々とした豊かな髪の面影はなくまるで別人のように老け込んだ頭部が映し出されており、私は試着した服を買う気力さえ失い逃げるようにその場を去りました。それからの毎日は恐怖との戦いであり、朝のセットが決まらないだけで一日中憂鬱になり、電車で座れば立っている人の視線がつむじに突き刺さっているような被害妄想に囚われ、風が吹けば反射的に手で頭を押さえるという強迫観念めいた行動をとるようになってしまいました。友人とランチに行っても照明の明るい席は避け帽子が手放せなくなり、薄毛を隠すためにパーマをかけたり高価なウィッグを検討したりと迷走を繰り返しましたが、根本的な解決には至らず心は疲弊していくばかりでした。そんな私が変わるきっかけとなったのは同じ悩みを抱える女性のブログを偶然目にしたことであり、そこには「女性の薄毛は治療できる」という力強い言葉と共に専門クリニックでの治療経過が赤裸々に綴られていました。勇気を振り絞って女性専門の頭髪外来を予約し医師の診断を受けたところ、私の薄毛は加齢によるホルモンバランスの乱れと長年の仕事のストレスが原因であると告げられましたが、同時に「まだ毛根は生きているから大丈夫」という言葉をもらい涙が出るほど安堵しました。それから処方された内服薬と外用薬を使い始め生活習慣も見直した結果、半年が過ぎる頃には指に触れる髪の感触が明らかに変わり産毛が力強く立ち上がってくるのを実感できるようになり、一年後には試着室のライトの下でも堂々と鏡を見ることができる自分を取り戻すことができました。この経験を通じて私が伝えたいのは、薄毛の悩みは決して孤独なものではなく正しい行動を起こせば必ず光が見えるということであり、鏡の前で泣いていたあの日々の私と同じ苦しみを持つ誰かに、この希望のメッセージが届くことを心から願っています。
鏡を見るのが怖かった私が自信を取り戻すまで