側頭部の薄毛は頭頂部や生え際と比べてあまり注目されませんが実は体からの深刻なSOSサインである可能性が高い特異な症状です。AGAなどの一般的な薄毛は男性ホルモンの影響を受けやすい前頭部や頭頂部から進行するのがセオリーであり側頭部はホルモンの影響を受けにくい場所として知られています。そのため側頭部が重点的に薄くなる場合にはホルモン以外の原因を疑う必要があります。最も注意すべき原因の一つが甲状腺機能の低下です。甲状腺ホルモンは全身の代謝を司る重要なホルモンでありこれが不足すると細胞の活動が鈍り髪の成長サイクルが乱れて抜け毛が増加します。特に甲状腺機能低下症橋本病などは女性に多い疾患ですが男性でも発症することがあり側頭部の脱毛はその初期症状の一つとして現れることがあります。倦怠感や冷え性むくみなどの症状も併発している場合は早急に内科や内分泌科を受診し血液検査を受けることを強くお勧めします。次に挙げられるのが眼精疲労とストレスによる血行不良です。側頭部の下には側頭筋という筋肉がありこれは目の神経や顎の筋肉と密接に繋がっています。スマホやパソコンの長時間使用による目の酷使やストレスによる食いしばり歯ぎしりは側頭筋を緊張させ凝り固まらせます。筋肉が硬くなるとその上にある頭皮への血流が阻害され毛根に栄養が届かなくなり髪が痩せ細ってしまうのです。特に現代人はデジタルデバイスへの依存度が高いためこのタイプの薄毛が増加傾向にあります。また牽引性脱毛症も原因の一つです。ポニーテールやハーフアップなど側頭部の髪を強く引っ張るヘアスタイルを日常的に続けていると毛根に物理的な負担がかかり抜け毛を引き起こします。さらに加齢によるコラーゲンの減少や血管の老化も関係しています。耳の周りには太い血管が通っていますが加齢とともに血流が悪くなると末端である頭皮への栄養供給が滞りやすくなります。円形脱毛症が側頭部に発生するケースもあります。この場合は蛇行性脱毛症と呼ばれる帯状に脱毛するタイプに移行することもあり難治性であることが多いため専門医による早期の治療が必要です。このように側頭部の薄毛は単なる老化や遺伝だけでなく内臓疾患や生活習慣ストレスなどが複雑に絡み合って引き起こされます。たかが薄毛と放置せず自分の体の声に耳を傾け原因を特定することが改善への第一歩であり隠れた病気の早期発見にも繋がるのです。