薄毛治療のウソ・ホント

AGA、すなわち男性型脱毛症は、薄毛の進行という視覚的な変化が注目されがちですが、実は頭皮のかゆみを伴うケースも少なくありません。かゆみは、単なる皮膚のトラブルと軽視されがちですが、AGAの進行と密接な関係を持つ可能性があり、適切な対処が求められます。AGAは、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン（DHT）が主な原因となり、毛髪の成長サイクルを乱し、髪を細く短くして最終的に抜け毛へとつながります。このDHTは、皮脂分泌を促進する作用も持っているため、AGAを発症している方の中には、頭皮の皮脂が過剰に分泌され、それがべたつきやかゆみの原因となることがあります。皮脂の過剰分泌は、頭皮の常在菌であるマラセチア菌の異常増殖を招き、脂漏性皮膚炎を引き起こす可能性があります。脂漏性皮膚炎は、強いかゆみや赤み、黄色っぽいフケを伴い、頭皮環境をさらに悪化させ、抜け毛を促進するリスクを高めます。また、皮脂だけでなく、頭皮の乾燥もかゆみの原因となります。乾燥によって頭皮のバリア機能が低下すると、外部からのわずかな刺激でもかゆみを感じやすくなるのです。このように、AGAが直接的にかゆみを引き起こすわけではなくても、AGAによって引き起こされる頭皮環境の乱れが、結果としてかゆみを生じさせ、さらなる薄毛の進行につながるという悪循環が起こり得るのです。AGAにおけるかゆみの原因は多岐にわたります。AGA治療薬の副作用としてかゆみや頭皮のかぶれが生じる場合がある他、AGA自体が引き起こす頭皮環境の悪化（皮脂の過剰分泌、乾燥、菌の増殖など）によってかゆみが生じることもあります。また、シャンプーが合っていない、洗い方が悪い、ストレスなども原因となり得ます。フケとAGAは直接的な因果関係はないものの、フケが多い状態は頭皮環境が悪化しているサインであり、それがAGAを悪化させる可能性もあります。かゆみが続く場合は、専門医への相談が重要です。