キャリアを重ね仕事に没頭していた30代後半のある日ふとエレベーターの鏡に映った自分の頭頂部を見て愕然としました。照明の下で見るつむじ周りの地肌が以前よりも明らかに透けて見えたのです。特定の場所が禿げているわけではないけれど全体的に髪のボリュームがなくなりペタンとしている。これが働く女性に急増しているびまん性脱毛症の典型的な症状でした。私は当時管理職に昇進したばかりで責任の重いプロジェクトを任され毎日のように残業をこなし睡眠時間は5時間を切るのが当たり前でした。食事はコンビニ弁当や外食で済ませストレス発散といえば週末の深酒という生活を送っていました。髪が薄くなったのは年齢のせいだと自分に言い訳していましたが今思えば体が悲鳴を上げていたサインだったのです。びまん性脱毛症の恐ろしいところは徐々に進行するため自分では気づきにくく気づいた時にはかなり進行していることが多い点です。焦った私はすぐにインターネットで検索し高価なシャンプーや育毛剤を買い漁りましたが半年経っても目に見える効果はありませんでした。そこでようやく専門のクリニックを受診することを決意しました。医師の診断はやはり過労とストレス栄養バランスの乱れによるホルモン低下と血行不良が原因でした。治療は内服薬と外用薬の併用から始まりましたが医師からは生活習慣の改善なくして薬の効果は発揮されないと厳しく指導されました。私はまず睡眠時間の確保を最優先事項にしました。仕事を効率化しどうしても終わらない仕事は翌朝に回して日付が変わる前にはベッドに入るようにしました。食事も自炊は難しくても野菜やタンパク質が摂れるメニューを選びサプリメントでビタミンやミネラルを補いました。また入浴はシャワーで済ませず湯船に浸かって全身を温め頭皮マッサージを行って血行を促進することを日課にしました。最も変えるのが難しかったのはストレスとの付き合い方でしたが完璧主義を捨て適度に人に任せることを覚えました。治療と生活改善を並行して一年が経過した頃髪にコシとハリが戻りペタンとしていたトップがふんわりと立ち上がるようになりました。美容院でも髪質が変わったと言われセットが決まるようになったことで仕事への自信も回復しました。びまん性脱毛症は体からの働きすぎの警告です。髪の健康は体の健康そのものです。仕事も大切ですが自分の体を犠牲にしては元も子もありません。もし髪のボリュームダウンを感じたらそれは立ち止まって自分の生活を見直すべきタイミングなのだと捉え勇気を持って休むことケアすることを選択してください。