高校生で薄毛に悩み始めると、まず頭に浮かぶのは「病院へ行くべきか」という問いでしょう。しかし、どの科に行けばいいのか、何をされるのか、費用はどのくらいかかるのか、不安は尽きないと思います。ここでは、皮膚科医の立場から、高校生が薄毛の悩みで受診する際に知っておいていただきたいことをお話しします。まず、受診を迷っているなら、一度専門医に相談することをお勧めします。自己判断で市販の育毛剤を使ったり、間違ったケアを続けたりすることは、症状を悪化させる可能性があるからです。受診する科は「皮膚科」が適切です。皮膚科では、髪や頭皮の状態を専門的に診断してくれます。診察では、まず詳しい問診を行います。いつから薄毛が気になり始めたか、生活習慣(食事、睡眠、ストレス)、家族に薄毛の人はいるか、使っているヘアケア製品などについてお伺いします。その後、医師が視診や触診、そして「ダーモスコピー」という特殊な拡大鏡を使って頭皮や毛穴の状態、髪の毛の太さなどを詳しく観察します。これにより、脱毛の原因が男性型脱毛症(AGA)なのか、円形脱毛症なのか、あるいは頭皮の炎症によるものなのかなどを判断します。高校生の段階では、遺伝的なAGAが始まっているケースは比較的稀で、多くは生活習慣の乱れやストレスによる「休止期脱毛」です。そのため、いきなりプロペシアやミノキシジルといった成人のAGA治療薬を処方することは、まずありません。治療の中心となるのは、生活習慣の改善指導です。食事や睡眠、ストレス管理について具体的なアドバイスを行います。頭皮に炎症が見られる場合は、それを抑えるための塗り薬が処方されることもあります。また、必要に応じて、栄養状態を調べるために血液検査を行うこともあります。費用については、ほとんどの診察や検査、処方が健康保険の適用内で行われますので、数千円程度で済むことが大半です。一人で悩まず、まずは専門家を頼ること。それが、不安を解消し、正しい改善への道筋を見つけるための最も確実な一歩なのです。
高校生の薄毛で病院へ行く前に知っておきたいこと