髪のボリュームが減ってくると、焦りからつい色々なケアを試したくなるのが女心です。しかし、良かれと思ってやっているそのケアが、実はデリケートな更年期の頭皮や髪にダメージを与え、薄毛をさらに悪化させている可能性があります。高価な育毛剤を試す前に、まずは日々の習慣に潜む「NGケア」をやめることが、改善への第一歩です。最も多くの人がやりがちなのが、「洗浄力の強すぎるシャンプーでゴシゴシ洗う」ことです。皮脂をしっかり落とさなければ、毛穴が詰まって髪が生えてこなくなる、というのは大きな誤解です。更年期の頭皮は乾燥しがちで、必要な皮脂まで奪ってしまうと、かえってバリア機能が低下し、炎症やかゆみを引き起こします。シャンプーは、アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のものを選び、指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。次に、「頭皮への過度な刺激」も禁物です。血行を良くしようと、硬いブラシで頭皮を力任せに叩いたり、爪を立ててマッサージしたりする人がいますが、これは頭皮を傷つけるだけの行為です。マッサージはあくまで心地よいと感じる強さで行うのが基本です。また、髪をきつく結ぶポニーテールなども、毛根に負担をかける「牽引性脱毛症」の原因となるため、毎日続けるのは避けましょう。食生活におけるNG習慣としては、「極端な食事制限ダイエット」が挙げられます。体重を減らしたい気持ちは分かりますが、髪の材料となるタンパク質や、その成長を助けるビタミン、ミネラルが不足すれば、髪が痩せ細るのは当然の結果です。健康的に痩せるためにも、バランスの取れた食事は不可欠です。「これを飲めば髪が生える」といった謳い文句の、科学的根拠の乏しい高額なサプリメントやドリンクに安易に飛びつくのも考えものです。まずは、食事、睡眠、運動といった基本的な生活習慣を整えることが、あらゆるケアの土台となります。不安な気持ちにつけ込むような情報に惑わされず、正しい知識を身につけ、自分の髪と頭皮をいたわるケアを心がけることが、遠回りのようでいて最も確実な改善への道なのです。